システム導入の約半分は失敗する ― 原因は「構造」です|建設DX/バレーナコミュニオンラジオ 第6回
SUMMARYポッドキャスト第6回。日経コンピュータの調査でITプロジェクトの成功率は52.8%、失敗要因の1位は要件定義の不十分さ。完璧な要件定義は構造的に不可能なので、変化を前提に、定額で無制限のカスタマイズに対応するベンダーを選ぶ考え方を説く。要件が変わる理由は、使って気づくこと、法改正、技術進歩の3つ。
高いお金を払ってシステムを導入したのに、気づいたら誰も使っていない。結局、Excelに戻っている——建設業の経営者の方から、こうした話を聞くことは少なくありません。
ポッドキャスト第6回では、この「システム導入の失敗」について、先に結論をお伝えするところから始めました。それは、あなたの会社が悪いのではありません。構造の問題です。
成功率は52.8%という現実
IT業界で最も有名な専門誌のひとつ、日経コンピュータが実施している「ITプロジェクト実態調査」があります。2018年の調査では、企業のIT部門・業務部門・ベンダー合わせて約1,200人に聞き取りを行い、1,745件のシステム導入プロジェクトを分析しています。国内最大級の調査です。
その成功率は、52.8%。裏を返せば、47.2%——およそ半分が「失敗だった」と評価されているということです。
しかも、ここでいう「成功」の定義は、決して厳しいものではありません。スケジュール通りに終わったか。費用が予算内に収まったか。使ってみて満足しているか。この程度の水準です。にもかかわらず、半分程度しか成功していない。プロが真剣に取り組んでも、これが現実なのです。
失敗要因の第1位は「要件定義が不十分だった」
では、なぜこうなってしまうのか。失敗と回答した方が挙げた要因の第1位は「要件定義が不十分だった」ことでした。結果として追加の開発作業が発生し、追加コストも発生した、と。
ならば、要件定義の精度をもっと上げればいいのではないか——そう考えたくなります。しかし、私の結論はこうです。最初の段階で完璧な要件定義をすることは、構造的に不可能です。
理由は3つあります。
理由①:使ってみて初めて気づくことがある
「こんなものを作ってほしい」というご依頼どおりに一度作り、実際に入力してみると、「イメージと違う」「使いづらい」と気づくことがあります。あるいは逆に、より良いアイデアがひらめくこともあります。
たとえば、直接入力を想定していた項目を、プルダウンから選択する形にしたほうが効率的ではないか。さらに言えば、単純なプルダウンではなく、別途マスターを作り、そこから選択すると1箇所だけでなく関連する他の項目も自動的に埋まるようにしたほうがいいのではないか——こうした発見は、実際に触ってみて初めて生まれます。
そして良いアイデアが出れば、当然「では取り入れましょう」となります。その時点で新しい要件が生まれ、工数が増え、通常の従量課金型の契約であれば追加コストが発生します。
理由②:法改正など、外部要因がある
数年前に始まったインボイス制度がわかりやすい例です。請求書にインボイス番号を記載するスペースが必要になり、取引先のインボイス番号も管理しなければならなくなりました。
こうした外部要因による新たな要件は、これまでも数多くありましたし、今後も出てきます。「将来インボイス制度が始まるだろうから、あらかじめスペースを作っておこう」などと予見することは不可能です。
理由③:技術が進歩する
前回のAI活用の回ともつながる話です。AIが進化すれば、「基幹システムとAIを連携させて、もっと生産性を上げられないか」と考えるのは当然のことです。
弊社でも「バレーナ見積AI」という、アシスタントに口頭で依頼する感覚で、AIが過去の見積データを参照して精度の高い叩き台を作るサービスを提供しています。しかし、要件定義をした時点では、そんな技術は存在していませんでした。新しい技術が生まれれば、そこで新しい要件が生まれる。これはもう、仕方のないことです。
では、どうすればいいのか
結論として、完璧な要件定義は不可能です。ならば、「要件は変化し続ける」ことを大前提に置いたうえで、選定をするしかありません。
ポイントは2つあります。
ひとつは、変化し続ける要件に対してカスタマイズ対応ができるベンダーを選ぶこと。
もうひとつが、実はより重要です。**どれくらいのボリュームの追加要件が発生するかは、あらかじめ予見できません。**想定外の大きなボリュームが発生する可能性もゼロではない。そのとき従量課金であれば、「費用対効果が合わないから、我慢しよう」「今回は妥協しよう」ということが起きがちです。せっかくの良いアイデアが、コストを理由に潰されてしまう。
だからこそ弊社は、あらかじめ固定の月額で、ボリューム無制限のカスタマイズに対応する、という形をとっています。こうしておけば、要件が変化しても、想定外のコストを心配せずに済みます。
これから何年、あるいは10年という中長期で考えれば、新しい要件が発生することは前提です。そのときに柔軟にカスタマイズができ、想定外のコストがかからない。この両方がセットになっているサービスを選ぶべきだ、というのが私の考えです。
まとめ
システム導入は、プロが一生懸命に取り組んでも、半分は失敗してしまう。それが構造的な現実です。
大切なのは、その構造を前提にしてサービスを選定し、ベンダーを選ぶこと。この視点を持っているかどうかで、5年後、10年後の結果は大きく変わります。システム選定を検討されている方の、判断材料になれば幸いです。
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